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この記事ではG Suite(現在のGoogle Workspace)で使っていたGmailのメールを無料版のGmailに移行する方法を紹介します。
これまでは無料でGoogle Workspace(旧G Suite)を使うことができましたが、7月1日で無料版は終了。引き続き使い続けたい場合は有料版に切り替えなければなりません。
そのためこれまでGoogle Workspaceを使って独自ドメインでGmailを使っていた人が、通常のGmailに移行させなければいけない人が多くいます。
僕もその1人です。10年くらい独自ドメインでGmailを使っていましたが、今回の変更で移行を余儀なくされました。
移行にあたっていろいろ試行錯誤したので他の方の参考程度に「覚書」としてやり方を残しておくことにしました。
Google Workspaceから無料版Gmailへ移行する「大まかな」流れ
まず初めにGoogle Workspace(旧Gmail)から無料版のGmailへ移行するための「大まかな」手順から紹介していきます。
- Google WorkspaceのGmailのメールをPOP経由で無料版Gmailで移行する
- 移行に時間がかかるので待つ(所要時間はメール数による)
- サーバーで独自ドメインのメールを無料版のGmailに転送する設定をする
- サーバーのMXレコードを書き換える
- MXコードが反映されるのを待つ(数十分から長いと72時間)
- 無料版のGmailで独自ドメインを使った送信の設定をする
- Gmailの細かい設定やラベル、フィルタなどを再設定する
以上の通りです。
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僕の場合、最初のPOPでメールを移行させるのに相当手間取りました。移行設定で何をやってもエラーが出てほぼ丸一日どうすればいいか情報を探しました。日本語では見つけられず結局英語で解決策を見つけました。
次に時間がかかったのはメールの移行です。時間がかかったとは言っても、サーバーサイドで処理してくれるので、ひたすら待つだけです。
コンタクト(連絡先)の移行はしていません
ちなみに僕はコンタクト(連絡先)の移行はしていません。
移行しなかった理由は10年ほど使っていたGmailには「今はもう連絡しない人たち」や「Gmailが勝手に登録した人たち」などが無数に登録されていました。
そのため新しい環境へ移行するにあたり一度リセットするためにコンタクトは移行しませんでした。もしコンタクトも移行させたい場合はお手数ですが、別途コンタクトを移行させる方法を探してみてください。
ステップ1:POP経由でGmailのメールを移行させる
最初に行うことはPOP経由でGoogle WorkspaceのGmailを無料版のGmailに移行させます。
POPの設定は以下の通りです。
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今後Google WorkspaceのGmailを「移行元のGmail」、無料版のGmailを「新環境のGmail」とします。
移行元のGmailでの設定
- 画面右上の歯車をクリック
- すべての設定を表示をクリック
- 画面上部のメール転送とPOP/IMPAをクリック
- POPダウンロードのすべてのメールにチェックを入れる
- 画面下の変更を保存をクリック
新環境のGmailでの設定
次は新しい環境(無料版のGmail)で行う作業です。
- 画面右上の歯車をクリック
- すべての設定を表示をクリック
- 画面上部のアカウントとインポートをクリック
- 画面下の他のアカウントのメールを確認のメールアカウントを追加するをクリック
- 移行元のメールアドレスを入力
- 次へをクリック
- 他のアカウントからメールを読み込むをクリック
- 次へをクリック
- ユーザー名は移行元のメールアドレス(ドメイン込みで)
- パスワードは移行元のGmailにログインするときのパスワード
- POPサーバーは「pop.gmail.com」
- ポートは「995」
- SSLを使用するにチェック
- メッセージをアーカイブするにチェック(補足あり)
- アカウントを追加をクリック
- ウィンドウが自動で閉じるので、あとは移行を待つ
「取得したメッセージのコピーをサーバーに残す」は当初いろいろ情報を見ていく中では「チェックする」と書いてあるところが多かったです。
ところが実際にチェックしてインポートを試みると「pop.gmail.com doesn’t support leaving messages on the server(pop.gmail.comはサーバーにメッセージを残すことができません」と出てくるので、チェックを外しました。
「チェックを外す=メッセージ残さない」のはずなのですが、移行していると移行元のGmailのメールは削除されていませんでした。
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また受信(移行)したメッセージを受信トレイに入れるのかそれともアーカイブするのか、また受信(移行)したメッセージにラベルを付けるのか?は新環境での運用方法次第なので任意です。
ただ僕の場合、受信箱は基本的にゼロにしたいので全てのメールをアーカイブさせました。
ユーザー名やパスワードが違うと出た場合
もしユーザー名もパスワードも、POPサーバーも全ての設定があっているのに「サーバーから返されたエラー: “[AUTH] Username and password not accepted.”」というエラーが出て先に進めないことがあります。
そんな時は以下の手順を踏んでみましょう。
- 移行元のGmailを開く。移行元のアカウントであることを確認
- 同じタブ(ウィンドウ)で「https://myaccount.google.com/lesssecureapps」をコピペしてアクセス
- Allow less secure appsをONにする
- 再び上で紹介した方法でGmailの移行を試みる
POPサーバーのアクセスは「セキュリティーが低い」という扱いになっているため「Allow Less Secure Apps」、つまり「セキュリティーが低いアプリの使用を許可する」をオンにしなければならないようです。
他にも移行元のGmailを開いたあと、同じタブで「Googleアカウントへのアクセスを許可 https://accounts.google.com/b/0/DisplayUnlockCaptcha」をコピペしてアクセスし、許可することで解決すると書いてあるところもありました。
このユーザー名とパスワードが正しいのに移行できない問題は「Free Computer Tricks」というサイトの記事を参考にしました。
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メールの移行は時間がかかる
POPの設定が終わるとメールの移行が始まります。
この移行、かなり時間がかかります。僕の場合、約10年くらいGoogle Workspaceを使ってきてメール数は1万件弱ありました。
そのため朝9時半から移行を始めて、終わったのは夜の8時半くらい。11時間もかかったことになります。
とはいえ作業は全てサーバー側で行われるので、パソコンに負荷がかかるわけではありません。またその移行中は移行元(Google Workspace)のGmailでメールの送受信もできるので不便はありません。
以降の目安は「1万件で11時間」つまり「1時間で900件」くらいを目処に時間配分をしておくと良いのかもしれません。
受信したメールは全て「未読」になっている
POPで移行したメールは移行先のGmailでは全て「未読」になります。
つまり僕の場合で言うと1万件のメールを移行させたので、1万件も未読メールがある状態になってしまいます。
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そのため僕は次のステップへ行く前に未読メールを全て既読にさせました。方法は以下の通りです。
- Gmailの画面上にあるメールを検索をクリック
- 「label:unread」と入力
- 入力したテキストの右にあるXの右のアイコンをクリック
- フィルタを作成をクリック
- 「フィルタの作成の確認」でOKをクリック
- 既読にするにチェックを入れる
- 一致するスレッドにもフィルタを適用にチェックを入れる
- フィルタを作成をクリック
以上で未読メールは全て既読になります。
ただ数が多いとフィルタがうまく適用されないメールもあるので、何度かフィルタを適応させる必要がありました。
このフィルタは移行させたメールを既読化できたら「必ず」削除するようにしましょう。そうしないと今後来たメールが全て勝手に既読になりトラブルの元になります。
スパム判定されるメールが多発
メールを取り込み終わった後、スパムメールをチェックするようにしましょう。僕の場合、スパムボックスをチェックしたところ、600通ほどスパム判定されたメールがありました。
1万通のうち600通なので 6%がスパム判定されたと言うことですね。
スパム判定されたメールの中にはメルマガなど「スパム判定されても仕方がないもの」もありましたが、そうではない普通のやりとりもスパム判定されていました。
なので、一通りチェックして必要なものだけスパムボックスから復活させるか、それが大変な場合は全選択してスパムボックスから出してしまいましょう。
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サーバーで独自ドメインのメールをGmailに転送する設定をする
無料版のGmailで独自ドメインのメールを受信する方法は3つあります。
- POP3で受信
- IMAPで受信
- メールサーバーが受信し、それをGmailに転送する
IMAPはメールがGmailではなくメールサーバーにあるので、サーバーを変えたいとき、サーバーに問題が起こった時に困るので使ったことがありません。
POPはメールのフェッチがリアルタイムではないので使いません。
一番確実なのはメールサーバーで独自ドメインのメールを受信をして、瞬時に新環境のGmailへ転送。サーバーのメールは削除にすることでサーバーを圧迫しないという設定かな?と思っています。
メールサーバーの設定はサーバーごとに違うので、ここでは詳しく設定を書きません。Xserverを使っている場合はXserverにログインしてメールをGmailに転送する設定をしましょう。
もしメールサーバーでメールアドレスを作っていない場合は、新規でメールアドレスを作って転送設定する必要があります。
「サーバーのMXレコードを書き換える
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メールの転送設定と、全メールの移行が終わったら、次はこれまでGoogle WorkspaceのGmailで受信していたメールを、自分が使っているサーバーのメールサーバーに送るように設定します。
もともとGoogle WorkspaceのGmailで独自ドメインのメールを送受信するためにメールサーバーのMXレコードにGoogle WorkspaceのMXレコードを追加しています。
そのGoogle WorkspaceのMXレコードを削除して、メールサーバーの初期設定を追加する必要があります。
この設定方法もサーバーごとに異なるので細かく紹介しません。ちなみにXserverの場合、ログイン後「DNSレコード設定」からMXレコードの設定を変えることができます。
初期設定は「DNSレコードの編集|Xserver」でご確認ください。
MXレコードの設定反映後は新環境のGmailで受信
MXレコードの設定が反映されると、これまでGoogle Workspace(旧G Suite)で受信していたメールが、メールサーバーを経由して新環境のGmailで受信されます。
逆に設定が反映されるまでは旧環境で受信するので、MXレコードを書き換えたあとMXレコードが反映されたかどうかは、自分宛にメールを送ってみると良いかもしれません。
MXレコードの反映は即時ではない
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ちなみにMXレコードは編集後、すぐに反映されません。
早いと数十分で反映されることもありますが、遅いと72時間くらいかかることがあるとか。
僕の場合は2時間くらいかかりました。
新環境でメールの送信ができるようにする
ここまでの設定で「過去のメールを移行」「独自ドメインのメールをGmailで受信できるようにする」という2つが終わりました。
次に行うのは新環境で独自ドメインのメールを送れるようにします。
設定は以下の通りです。
- 新環境のGmailを開く
- 画面右上の歯車アイコンをクリック
- すべての設定を表示をクリック
- アカウントとインポートをクリック
- 名前の中にある他のメールアドレスを追加をクリック
- 独自ドメインのメールの送信者名(後で変更可)とメールアドレスを入力
- 次のステップをクリック
あとは画面の指示に従っていきます。
SMTPサーバーの名前や、ポート、ユーザー名などはお使いのサーバーによって変わってきますので、調べてみて下さい。
アカウントを追加すると独自ドメイン宛にメールが届くので、本文にあるリンクをクリックすると、アカウントが追加されます。
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これで独自ドメインのメールを無料版のGmailで送信できるようになりました。
最後にラベルやフィルターの設定を
これまで紹介した方法で無料版のGmailで独自ドメインのメールを送受信できるようになり、さらにGoogle Workspaceのメールも移行できました。
ただラベルやフィルターは移行できていません。
フィルタはエクスポートやインポートができます。そのまま移行したい方はGmailの設定から行なって下さい。ラベルは移行できなさそうなので手動で作る必要があります。
以上で移行は完了です。お疲れさまでした
ここまでいろいろ長く書いてきましたが、実際の作業時間はそれほど長いものではありません。
一番所要時間が長いのはメールの移行を待つ時間。その次がMXレコードの反映で、それ以外の実際に設定をする時間はうまくいけば数分程度です。
Google Workspaceは2022年7月以降、無料版はGmailが使えなくなるので今後は同じようなことをしたい方の参考になれば幸いです。